厚生労働省 人口動態統計(2022年度)では、第1位 悪性新生物<腫瘍> 38 万 5787 人/死亡率316.1、第2位は心疾患(高血圧性を除く) 23 万 2,879 人/死亡率 190.8、第3位 老衰 17 万 9,524 人/死亡率 147.1、第4位は脳血管疾患 10 万 7,473 人/死亡率 88.1、第5位 肺炎 7万4,002人/死亡率60.6と報告されています。(死亡率:人口 10 万人対)
老衰の定義は、「死亡診断書記入マニュアル」/厚生労働省で、老衰の定義を「高齢者で他に記載すべき死亡の原因が無い、いわゆる自然死」を指すとされています。死亡を判断する医師にもよりますが、病気や外傷などの原因で死亡した場合or延命治療の末に死亡した場合、「老衰」の判断はしません。加齢により身体機能が自然に衰えて死亡したと判断された時に、死亡診断書に「老衰」と記載されます。
日本での死亡する場所は、病院では2000年80%から2020年70%へと低下する一方、介護施設では2000年10%から2020年50%へと増加を見せています。(厚生労働省データより)
「老衰」が、過去に比較して、日本の医療技術の進歩や食料事情が改善されて、対人口10万人当たり20~30人程度に抑制されていたにも拘わらず、2005年辺りから急上昇し始めた点には注意が必要です。
これは、悪性新生物/腫瘍・癌と比較しても明確に急激な増加傾向を示しています。(新型コロナ感染による影響もありますが、2019年前から既に増加傾向です。)徐々に高齢化が進行している他の先進国では、今の日本の状況が今後の参考になるとして非常に注目されています。
平均寿命については、日本では誤解する人も多いので平均余命と合わせてご確認下さい。平均寿命とは、0歳の人/出生児の平均余命、すなわち「0歳の人が今後何年生きられるか」の平均値を示します。多くの人は、この平均寿命と自分の現在の年齢差を考えて、今後何年程度生きられるかというイメージを持つと思いますが、平均余命がこれに相当します。平均余命は、「ある年齢の人が今後何年生きられるか」の平均値を示しています。以下の表は、完全生命表で2018年・2020年の国勢調査によって精密に作成された人口資料に基づき年齢・各歳orそれ以下の区分にしたがって精密な計算方法により作成されたものです。自分の年齢から残り何年程度生きられるのか?の統計的な参考データとなります。
日本では、100歳を超える人が、2023年9月15日時点で9万2,139人となり、前年より1,613人増加しています。これは、1970年の310人増加から53年間連続で最多を更新しています。90歳迄健康に生活出来た人は、その後、100~110歳を超えてもある程度迄、健康に過ごせる可能性が高い傾向にあります。 100歳を超える人は、センテナリアン or 「百寿者」と呼ばれています。日本の場合は、性別では男性が1万536人、女性が8万1603人で全体の88.6%を女性が占めています。110歳を超える人をスーパーセンテナリアンと呼びますが、センテナリアン1千人に一人、0.1%の割合となります。115歳以上は、更に稀少となり有史以来現在まで記録されたのは67人のみとされています。(Wikipediaより)
日本では、過去(現在?)、長寿お祝い金が出ています(した)が、心無い人達の批判(無駄!)を受ける形で縮小(減額)される傾向の様です。日本の効率・合理性重視の優れた教育の結果かも知れませんが、少し残念な気がします。日本の発展や社会の成長に貢献した人達を祝福する余裕が無くなっている日本という国や社会の殺伐とした空気に、暗い印象・不安をやや感じてしまいます。
聖路加国際病院名誉院長の故日野原重明医師は、長く医療活動を継続したセンテナリアンとして有名ですが、「生活習慣病」や血栓メカニズム解析等、日本の医療システムの問題を指摘して率先して改革を行い、健康長寿に血管の健康維持が必要である事を広く世界に情報発信をして貢献し、多くの著作・講演を行い、世界からも高い評価を得て多くの賞を受賞しています。
ご存知の様に、日本では、健康寿命が、平均寿命・平均余命よりも短く、ある年齢を超えると病院や介護施設で過ごす人の数が急激に増加の傾向にあります。病院や介護施設の収容能力には限界があり、可能な限り健康に余生を過ごす事が、精神的・肉体的な苦痛を少なくして、楽しみや喜び・笑顔を多くして過ごす事になり、周囲の不要な負担や個人の経済的負担をミニマムにします。勿論、医療施設や介護施設を増設して必要な人員を増加させればこの問題は解決可能という短絡的な声も時々ありますが、若い人たちや健康維持をしている人達から見ると無責任な声と聞こえてしまうリスクやアンフェアさもあります。
AXRの「健康サービス/AxHELP」では、人々の平均寿命(or平均余命)を長くして、健康寿命とのGAPをミニマムにする科学的なアドバイス/情報をシェアします。40~50歳を過ぎてから、折り返しの寿命・生活を大切に過ごしたい人は、是非、可視化技術による「健康サービス」にトライして、最高の人生と言える様に生活習慣をデザインして下さい。また、あなたの経験・体験を広くシェアして、多くの人の人生や生活、QoLの向上を促進させてエビデンス増加に貢献して下さい。このターニングポイントからの生活習慣の変化は、後半の人生を劇的に変えてしまいます。(幸福な人生 or 不幸な人生?)
老衰の原因は、複数指摘されていますが、主な原因としては生物学・医学的に身体を形成する細胞や組織の機能が老化・加齢により、その機能維持が大幅に低下して最終的に維持困難になる為と考えられています。個人差はありますが、最終的には、代謝・免疫・回復能力の不全により老衰死に至ります。
眠り足りないと感じる時間が増えて、徐々に肩を叩かれたり、揺さぶられたりしても目を覚まさない程、深い眠りを続ける様になり、最終的には脳機能の低下も進行して、一日の多くを眠って過ごす日が徐々に増加する様になります。睡眠時間が長くなるにつれて、口から栄養を摂取する機会が減る事から、身体機能や脳機能は更に低下すると言われています。個体差はありますが、人によっては、脳機能の低下により、幻覚症状や意識障害を引き起こして、正常な意識レベルを保てなくなってしまう人もいるようです。幻覚を見てお迎えが近いと言ったり、異常行動や不自然な言動をしたりする事例が良く知られています。
勿論、年齢も若く、MLBの大谷選手の様な筋力トレーニングやハードワークをしている人は、体力回復や筋肉血管等の臓器修復が必要であり、9時間前後の睡眠を必要としているというアスリートもいます。また、児童(10歳以下)の睡眠時間は9時間前後、10~16歳の睡眠時間は8~9時間前後が理想的との報告もあります。加齢により65歳の睡眠時間は、6時間前後と減少する事が知られています。
老衰の前兆として、皮膚・筋肉・骨、血管を含む臓器の細胞レベルでの劣化により、生命の維持に必要な体内ネットワークが徐々に機能しなくなります。味覚・聴覚・視力の低下と並行して、体のバランスを取ったり、歩行や立ったりする事も億劫になり補助を必要とする様になります。細胞レベルでは、臓器を構成する細胞の更新も徐々に低下すると同時に、生体のエネルギー通貨とも言われているATPの産生量が低下して、これを左右する細胞内部のミトコンドリア量が減少します。この低下は、高齢者に良く見られるフレイル/虚弱やサルコペニア/筋力低下、認知症MCIとの相関が指摘されています。カロリーバランスや栄養管理と運動、睡眠、ストレスフリーを意識した生活により身体機能の低下は、十分に抑制可能と言われています。
老衰や癌・その他の疾患により消化器官の働きが衰えると、食事から栄養を吸収しにくくなり、毛細血管の劣化も手伝って細胞への栄養供給が減るため、体重が減少し見た目からも分かるほどに痩せ細ります。特に、Yシャツやネクタイ、ネックレス等を身に着ける際に、首回りが以前に比較して細くなったと感じた場合は、老衰や疾患の進行が懸念されます。ある日、食欲の低下と同時に、自力での食事が難しくなり、介助が必要になる現象が多く報告されています。極端に体重減少が自覚する前の状態としては、脹脛を両手の親指と人差し指で円を作る様にして、隙間が無いor回らない状態であれば、BMI値が理想値に近い場合は、筋肉量も十分にあると判断可能です。隙間が十分にあるor多い場合は、筋肉量が低下しています。体組成計でチェックしたり、握力計測やジャンプしたり、縄跳び、短距離走のタイムである程度分かると思います。骨密度の低下は、気づき難いと言われていますが、重いものを持ったりor立ち上がったりした時に背中や腰への負担が大きいとか痛む場合、その兆候である場合があります。背中や腰が曲がってきたor身長を測定すると以前より数cm程度低くなった場合、注意が必要です。放置しておくと「ちょっとつまずいた」「咳をした」「尻もちをついた」「転んで手をついた」時に、以前なら何でも無い状況なのに骨折するという例が増えています。小さくてもその兆候を気にして下さい。
ある一定量の体重/筋肉量・骨密度を維持する為には、カロリーや栄養管理、有酸素運動・無酸素運動、睡眠に注意する必要があります。最終的には、要介護度などの条件を満たす必要はありますが、自力での食事が難しくなったらデイサービスなどの利用を早めに検討するのも良いかも知れません。
また、栄養不足は睡眠時間の増加や身体機能の低下をはじめ、その他の老衰の症状に拍車をかけますので、一定の筋肉量や骨量を維持する生活習慣が大切です。老衰の進行ペースを可能な限り緩やかにするためにも、栄養バランスに気を配ることが大切です。特に、加齢を意識する様になったら、夜は栄養バランスを優先させて、カロリーやボリュームは最小限にしましょう。こうする事で、睡眠中に産生されたATPが消化よりも細胞による臓器の修復に利用される事になり老化速度を抑制します。食事の質がUPすれば、無理せずに栄養コントロールを達成可能です。良く見逃されやすい要因の1つに、「歯を健康に維持する」事が上げられます。高齢化に伴い「歯の健康維持」の状態により、健康寿命が大きく影響を受ける事が分かっています。70歳以上の高齢者の「歯の健康」と疾患の相関では、脳が健康に維持出来ている人の歯は平均14.9本以上残っている人であり、認知症MCIの疑いのある人は9.4本以下という統計があります。(歯が十分残っていても咀嚼が十分で無い場合は、認知症MCIリスクがUPします。)
正常な人の歯数は、親知らず4本を入れて32本ですが、80歳を過ぎても20本以上健康な歯が残っているかどうかが重要とされています。現在、80歳迄に20本以下になってしまうという統計があり、疾患リスク・老衰・認知症MCIとの相関が指摘されていますので、注意が必要です。
古い細胞を除去して新しい細胞を再生するオートファジーが、老化速度と高い相関がある事が知られる様になりました。カロリーを必要以上に過剰摂取しない事と抗酸化物質やビタミン・ミネラル、蛋白質を上手に摂取する事が有効と言われています。また、夕食は、発酵食品や海藻類・キノコ、野菜・果物類等の食物繊維・抗酸化物質・ビタミンA,B,C,D,E群とCa,Mg,Zn,Mn,Cu,Se等のミネラル類を中心にして、AGEs増加を促進する糖分やカロリー量を少なくし消化器官に負担を掛けない方が良いとされています。
これにより、脳や血管等の臓器類の修復・再生が睡眠の質をUPさせて上手く健康改善されると言われています。昔から言われている事ですが、赤ワインはアルコールの問題はありますが、含有されているレスベラトロールが眼の水晶体を柔らかくする効果が分かり、適量であれば健康増進効果があるとされます。生体内に存在するポリアミン物質のスペルミジンはT細胞の脂肪酸酸化を直接活性化し老化による抗腫瘍免疫低下を回復させる事が、理化学研究所・京都大学により解明されています。但し、東京大学の最近の論文では、癌細胞が免疫細胞により大量に壊疽されるとスペルミジンを放出して、コレステロールの少ない環境では、免疫反応を抑制阻害する現象が報告されています。過去、総コレステロール値が150~160前後迄低下すると特定部位の癌疾患がやや増加する傾向があるという統計的報告があります。
時々、コレステロールを目の敵(健康の敵)とする人がいますが、食事からの摂取で吸収される比率は(外因性)、20~30%程度であり、残りの殆どが体内で合成されています(内因性)。日本人の場合、平均的なコレステロールの摂取量は多く、推奨値
200mg/日を超える300~400mg/日(男性)という統計が知られています。女性は、290~340
mg/日という統計値ですのでやや過剰と言えます。体内のコレステロール量が極端に少ない場合、免疫機能が正常に機能しないという研究報告があります。(理化学研究所・東京大学・慶応義塾大学・他の連携研究)HDLコレステロールを増加させるには、BMI値を上手くコントロールして、運動量を増やして、青魚や大豆類の摂取が有効とするアドバイスが多くあります。
メチオニンは、硫黄を含んだ必須アミノ酸の1つであり体内でグルタチオンやタウリンに変換されます。コレステロールを減らす働きや肝機能改善作用、免疫増強作用などが報告されています。グルタチオンは、グルタミン酸・システイン・グリシンという3つのアミノ酸が連なったペプチドですが、解毒作用や抗酸化作用、メラニン抑制作用があるため、全身の美白に効果がある事が知られています。生命を維持するには欠かせない成分ですが、加齢や紫外線の影響により減少しやすいという弱点もあります。実際に、グルタチオン減少により、疲れや肝機能の低下、肌荒れ、代謝の低下、老化の加速が危惧されます。
グルタチオン成分の1つグルタミン酸は、体内で合成可能な非必須アミノ酸の一種で、リラックス成分であるGABA(ギャバ)を生成します。アンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があります。脳のグルタミン酸神経伝達は、記憶や学習に必須の神経伝達として知られていて、不足すると統合失調症や過剰になると神経細胞が興奮し過ぎて刺激に耐えられなくなり、脳細胞が自ら死ぬ事を選ぶとされています。これはグルタミン酸の神経興奮毒性と呼ばれ、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症といった神経変性疾患原因として予想されています。システインは、非必須アミノ酸でL-システインの形で自然界に存在します。体内では坑酸化作用(活性酸素の除去)、代謝を促進させてメラニン色素の生成を抑制したり、肝臓の解毒作用をしたりする事で健康に貢献します。グリシンは、必須アミノ酸で皮膚のタンパク質であるコラーゲンを構成するアミノ酸の約3分の1を占めます。また、神経伝達物質の一つとしても働き、運動や感覚機能、呼吸等の身体機能にも関わり、1日数十グラム体内で生成されています。グリシンは、エビやホタテなどの甲殻類・魚介類に含まれていて、甘味成分として知られています。
老化や加齢は、英語圏では”Aging”という1つの単語を使用しますが、日本では、ある程度自然なペースで進む場合は「加齢」として、異常に進行する場合は「老化」の表現を使う研究者・専門医が多い様です。
人間の生命維持は、膨大な数の細胞と酵素反応によりコントロールされていて、オートファジーやATP生成回路、細胞の生存環境も柔軟に対応可能な選択肢を複数持っています。多くの場合、簡単に生存が脅かされる事はありませんが、老化や栄養バランス・カロリーバランスの崩壊、ストレスや睡眠不足、運動不足により、劇的に細胞や臓器類の劣化が進行する例も珍しくありません。自動車やクルーザーと同じ例え話になりますが、路面のアップダウン・カーブや波・海流に対して適切にハンドル・舵を切り速度調整が必要である様に、生命維持のシステムをある程度理解して、注意して生活する事が大切になります。