Commentary

2024 / 4 / 02

 

癌化と老化を抑制する 細胞の代謝

 


最初に、大学入試のような話になり恐縮ですが、生物(生命)と無機物の違いと言われれば、生物(生命)は、炭水化物,タンパク質,脂肪等、生物の体内で産生される有機物から構成されている点と多くの場合、生態系の構成要素であり、外部から必要な材料を摂り込み、エネルギー産生や自己内部で変換が可能で、やや変化を許容しながら、複製により種としての存続が可能である存在とされています。

今回、世界規模での新型コロナウィルス感染爆発は、ウィルスに世界が注目せざるを得ない大惨事となりました。
同時に、ウィルスは生物なのか?非生物なのか?の疑問も上がりました。ウイルスは、あるレベルのDNAやRNAを構成要素とする遺伝物質を持ち、感染・増殖を繰り返す中で遺伝情報が変化する事から、生物的な特性を持っています。しかし、ウィルスは、宿主となる細胞の機能や構造などを利用して増えるので、細胞に依存せずには増殖でき無い事から非生物であるとする考え方もあります。

参考: https://microbiologysociety.org/publication/past-issues/what-is-life/article/are-viruses-alive-what-is-life.html

人間の進化が、飛躍的に進行する過程で遺伝的な問題から「癌」が発生するとされる考え方が、日本では数十年前には主流でしたが、少なくとも米国では、現在、遺伝子による原因は、疾患者の10%程度であると予測されています。90%は、個人の生活習慣により癌を含めた多くの疾患が発現するという考え方が、主流になりつつあります。実際、米国は、日本と違って、癌罹患者数と癌死亡者数の何れも減少させる事に成功しています。日本は、残念ですが、癌やその他の疾患について、全体的には、上昇傾向にあり安心出来ない状態です。(但し、都道府県により、その数値は異なります。)勿論、生命維持の仕組みとして、遺伝的な差は無視出来ない点である事には注意が必要です。例えば、膵臓がんリスクについて同一の遺伝情報を持つ一卵性双生児の二人が、成人して一人は膵臓癌になり、もう一人は膵臓癌を回避して生活しているという米国での研究結果は、遺伝的問題と生活習慣が関係している事の事例の1つと言われています。

シベリアやアラスカやカナダ、グリーンランドなどの北の氷の大地に住む人々は、イヌイットとして知られていますが、彼らの食事には殆ど野菜が無い事で知られています。彼らの主食は、殆どがアザラシや魚で、総摂取エネルギーの40%が脂質という、脂に偏った生活をしていました。現在の私達の常識から見ると一見信じられない食習慣と心配しそうです。この偏った食生活から、イヌイットの人々の健康状態は、相当酷いに違いないと考えられていました。しかし、1970年代に疫学的な調査が行われた結果、驚くべき事が分かります。比較的近隣に住むデンマーク人と比べて、イヌイットの血中における脂質の割合は、非常に低く抑えられていたという常識から外れた事実が判明します。また、心筋梗塞や糖尿病などの成人病に加えて、「癌」の発生率も非常に低い結果でした。当時、原因は不明であり、恐らく、特殊な生活習慣と遺伝的な理由がこの背景にあると推定されていました。しかし、イヌイットの食生活に、欧米から小麦を持ち込まれて、食の欧米化が進むと40年以上に渡り、穀物中心の食事をとる様に生活パターンが変化すると、途端に、血中の脂肪が増え、肥満になり、生活習慣病になる人が増加して、更に、周囲を驚かせる結果となりました。

イヌイットの人達の多くが、食習慣の欧米化が進むと大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん等が増加して、欧米型の癌罹患者が驚く程、増加する結果となったのです。但し、伝統的な食習慣を守っているイヌイットの人達の間では、欧米型の癌の発生率は、それ程、高くは無い結果となりました。つまり、イヌイットの人達の癌の上昇は、欧米型の食習慣だと、明確にデータが示す結果となりました。伝統的なイヌイットの人達の食事は、低炭水化物+高脂肪食、現在のケトン食に類似の食事内容である事が注目される結果となりました。

一方で、「脳」を使う人は、「糖」を唯一エネルギー源とするのだから糖や炭水化物は必須では無いのか?と反論・反発する方も多くいるかも知れません。しかし、「脳」は、ブドウ糖以外にも乳酸やケトン体をエネルギー源にしている事が分かっています。実際、「脳」は、乳酸やケトン体等の物質を積極的に利用している時の方が冴えていると考える専門家も多くいます。有酸素運動で、筋肉に負荷が掛かっている状態では、体内では乳酸が産生されます。また、空腹状態が続くと脂肪の代謝が活発になり「ケトン体」が産生されますので、「脳」は、未だ簡単に糖が精製出来ない時代の体の機能を覚えていますので、これを利用する事は容易です。専門家や研究者は、「ケトン食療法」と呼ばれる食習慣を健康維持の1つの考え方として推奨しています。「癌を兵糧攻めにするケトン食療法」には、癌患者への治療方法として有効である事が示されています。但し、血糖値を十分に低値に抑える事を同時にしないと効果が十分で無いという指摘も記述されています。古川氏他6名のチームが、栄養バランス管理や糖コントロールを治療の効果を紹介しています。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/53/5/53_201/pdf

管理栄養士の多くが、健康維持には、偏らない食事とカロリー・ビタミン・ミネラル・脂質・蛋白質・糖質を上手にコントロールする指導やアドバイスをしています。人間の体内では2019年迄に、6千種類程度の酵素が発見されて、生命維持に貢献する酵素反応がパスウェイと合わせて研究されています。

癌細胞は、ATP産生では、一見効率の悪い嫌気性回答系(2 ATP)を利用する事が知られていますが、通常細胞の利用する解糖系(2ATP)TCA回路(36ATP)が有利なのに癌細胞が優勢になるのは何故か?との疑問もあるかと思います。嫌気性解糖系は、反応速度が100倍と桁違いに大量のATP生成が可能であり、癌細胞は十分に増殖可能なチャンスを持つ事になります。勿論、多くの場合、癌細胞は、個体差はありますが、数百~数千個程度が毎日体内で作られていて、免疫細胞がこれを破壊して癌化の進行を抑制しているので、免疫システムが上手く機能していれば癌化は抑制されるというのが、専門家による分析の様です。

健康維持を考える場合、加齢を超える老化、認知症MCIや癌化の問題があります。老化細胞は、本来は細胞分裂の限界に直面した細胞なので、癌細胞の様に激しい細胞分裂を起こす材料としては不適の様に考えられますが、現実は、加齢が進むと癌化リスクが増大します。何故なのか?

もし、老化しない動物がいた場合、そのような動物と老化する動物とはどちらが生存に適しているか?一般に生殖能力は強い動物は寿命が短いと言われています。例えば、生殖能力が弱く、長生きの動物は怪我や病気で亡くなった場合に、人口が激減する可能性があります。一方生殖本能の強い動物は寿命が短い代わり、種全体としては、生存に適していると考える事が可能です。これが、老化が非常に遅い動物が生存しない理由と言われている1つの理由です。

さて老化の原因として大きな要因の1つは、現在、細胞の酸化と糖化であるとの説が有力です。終末糖化産物AGEs/Advanced Glycation End Productsは、タンパク質を変性・劣化させると同時に、老化を加速させて、骨粗鬆症、動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)、がん、白内障、アルツハイマー病(認知症MCI)等の疾患リスクをUPさせる事が指摘されています。私達人間や哺乳類は、酸素を吸って生きていますが、人間程、他の動物は癌化率が高い訳ではありません。また、細胞数が多いとCOPYミスの確率が高い事から、大きな体型の動物は癌化率が高い様に想像され勝ちです。しかし、巨大な体形のシロナガス鯨やゾウは、癌化率は低い事が知られています。これは、1970年代に英国の統計学者・疫学者のリチャード・ピート氏が指摘した現象で、「ピートパラドックス」と呼ばれています。いくつかの研究で、鯨もゾウもエネルギー消費を少なくして長寿である事が知られています。ゾウは、ダメージを受けた細胞を自己破壊させる遺伝子TP53のコピーを20個持つ事が知られていて、癌化率を低くする免疫力が機能しているとする予測があります。

酸素は肺から体に入り、細胞に送られます。酸素が細胞膜から細胞の中に入ると、栄養素となる物質を酸化します。また、ブドウ糖が酸化されると、ブドウ糖は分解されてミトコンドリアにより、ATPエネルギーを産生します。このエネルギーを利用して私達人間は生きていますが、この時ミトコンドリアは活性酸素を発生させて癌化率をUPするリスクが指摘されています。

活性酸素は、酸化能力が強く、つまり、あらゆる物質を酸化させます。良く錆に例えられますが、体内では、消化器系臓器や血管(内皮細胞)、脳、肺・心臓が、徐々に劣化して癌化する事が知られています。細胞膜が酸化されて錆ると、膜の機能は低下してその属する臓器が劣化します。遺伝子が酸化されれば、異常な分裂を起こしてガン化する事もあります。生命維持に呼吸や摂食は、生存の必須条件と言えますが、それは同時に老化への道を進んでいると考える事も出来ます。

酸化・糖化のイメージ例

地球が誕生して、46億年と推定されています。その後、高温の地球は、徐々に温度が低下して「海」が、44億円前に誕生したと考えられています。直径、数kmの惑星が、地球に衝突して「海」は蒸発したり、また復活したりと繰り返して、38億年前に安定して存在可能な状態になったと推定されています。

「カンブリア紀」と呼ばれる生命大爆発が、5億4千年前に起こり多種多様な生命が地球上に現れたと推測されています。この時、生命の大部分が「海」に生息していましたが、シアノバクテリアの祖先が、30~25億年前に地球上に出現し、初めて酸素発生型光合成を始めたと考えられています。そして、大気の主成分は二酸化炭素と窒素になったと考えられています。更に、数億年を経て、海に二酸化炭素が溶け込むと、その一部がカルシウムイオンと結合して、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積する事により、大気中の二酸化炭素は減少し、大気の主成分は窒素になったと推定されています。

また、地球上に酸素が多くなると活動エネルギーとしてATPを利用する生物が進化して陸上に進出し、多様な植物による光合成が活発に行われる事で、酸素はさらに増え、大気は数十億年かけて、窒素と酸素を主成分とする現在の組成へと変化したと考えられています。また、豊富な酸素は、その一部が太陽からの紫外線で化学反応を起こす事により、オゾンを生成して、オゾンの量が増えるにつれ、次第に大気上空でオゾン層が形成される様になったと考えられています。オゾン層は、生物にとって有害な、太陽からの紫外線(UV-B)の多くを吸収して、海で誕生した生物の陸上への進出を支援する形になったとされます。

地球は、35億年前の岩石に地磁気の名残りが発見された事から、地磁気は地球の歴史(46億年)のかなり早い時期からあったと推定されています。地磁気により、コンパスが発明されて大航海時代を支えた事や太陽風・宇宙放射線等の高速で地球進入コースを取り飛来する宇宙からの荷電粒子を反らす事で、地上の生命体を保護して来たとも言われています。勿論、太陽系の他の惑星と違って、地球には大気(+オゾン層)や水があり、これらも地上の生命体を保護している事はご存知の通りです。地磁気は、地球の中心に向かって、地表(~地殻)、マントル、コア(外核・内核)と構成していて、その外核部で生成されていると考えられていますが、鳩や渡り鳥等は、生体内部のマグネタイト(Fe3O4)の微量結晶成分やISCA1・CRY(磁場感知蛋白質)の複合体を利用して、曇りの日や洋上では、帰巣性や長距離移動を「磁覚」によりこれを実現している可能性が指摘されていて生物との見えない関係解明が進んでいます。

映画や小説・SFでは、ポールシフトがテーマとして登場する事がありますが、過去、350万年間で、11回のシフト(NS逆転)が判明しているとの事です。また、2007年1月、日本の南極地域観測隊は、深さ3,035m(直径10cm)にも及ぶ氷床掘削に成功して、72万年前の氷を手に入れて、地球の気候変動を分析する事にチャレンジしています。最近、宇宙に関するチャレンジが時々取り上げられる機会が増えていますが、一見「生命」と「星の誕生」は距離があり、全く関係無い様に感じますが、実は非常に近い関係があるという話があります。

大気組成の変化(田近、1995)
出典:丸山茂徳・磯崎行雄著『生命と地球の歴史』
(1998, 岩波新書)の図より

日本は、46,000 nT(ナノ・テスラ)の磁束密度で、地球全体で見ると南米大陸の25,000nTよりは高く、オーストラリア南方南極大陸付近の65,000nTと比較した場合は、低い数値と言えます。
一般的に地磁気は安定していて、1日の変動は数十nT程度と言われていて、0.1%程度の変動幅になります。例えば、日本の家庭用向けの磁器ネックレスやブレスレットは、200mT程度の製品が許可されています。これらは、地磁気の2千倍程度の大きさに相当する事になります。世界トップクラスの磁器共鳴装置(MRI)は、9.4Tと言われていますから、その場合は4.7万倍という計算になります。

地球環境の場合もそうですが、地球の生態系が安全に維持される仕組みは、ある程度構築されています。しかし、その防御システムが、何らかの理由で、徐々に崩壊して行けば、最終的に人間にとってもリスクのある地球環境に直面する事になります。教科書では、「細胞の老化」は、増殖能を有する正常細胞の寿命(細胞分裂回数)に関係するテロメアの短小化、癌遺伝子の活性化や過度な酸化的ストレスなどにより発癌の危険性のある修復不可能なDNA損傷が生じる事で起こる不可逆的な増殖停止状態を指すと説明されています。老化細胞は、正常なパスであれば、除去されて癌化リスクを低下させて新しい細胞の再生を促す事が、良い意味で生命維持に必要なプロセスと考えられていました。しかし、最近の研究で、特に、高齢者の新型コロナ感染者の中で、アポトーシス(細胞死)を起こさずに、老化細胞が長く体内に残り慢性炎症を起こして臓器の劣化や癌化を誘導するメカニズムが発見されて注目されています。老化細胞が除去されずに中長期的に体内に残れば、慢性炎症リスクを放置して癌化等の疾患リスクが高くなります。

一般的には、LDL-CやHDL-C/LDL-C(H/L比)やCRP(RA, ASO 他)が良く参考にされる場合が多いのですが、明らかに異常値が見つかれば、専門医に相談する方が安全です。一般的には、BMIや腹囲、筋肉量や有酸素運動の頻度は、個人的なチェックポイントとして有効です。但し、BMIやLDL-C等が、基準値内で健康と思われている人でも sd LDL-Cが多い人が見つかっています。Sd LDL-Cは、体内での酸化が容易であり、血管内被細胞へ侵入して血管・臓器の劣化とリンクしている事が分かっています。そして、これらの人々は、心疾患やその他の予備群であり注意すべきとするレポートが知られています。

超新星爆発の中で、太陽よりずっと重い星が起こす爆発では、星の中で作られた酸素などの元素が飛び散ると同時に、金や銀のような元素が生み出されると考えられています。

一方、白色矮星を含む連星が起こす爆発は、超微量元素ではありますが、私たちの身体に欠かせない「鉄」やケイ素を生成します。星は年老いると周囲の惑星を飲み込む程に膨らみ、赤く光る「赤色巨星」になります。この時、その中心では、それ迄星を輝かせてきた「核融合反応」の燃料である水素が無くなり、ヘリウムから炭素や酸素を作る別の核融合反応が進みます。太陽よりずっと重い星の中心では、さらに核融合反応が進行し、ケイ素や鉄などの元素が作られると考えられています。実際、スバル望遠鏡やアルマ望遠鏡での宇宙観測で、太陽系の様な恒星と惑星が誕生する例を見つけています。生命体の生命活動を維持するには、蛋白質や核酸(DNA・RNA, ゲノム)、酵素反応支援の為のミネラルやビタミンが必須になります。その中で、地球上では、炭素:0.02% vs ケイ素:27.7%(重量比)であり、元素周期表上は、同族であるにも拘わらず、人間を構成する体内での構成要素としては炭素C:9.4%に対して、ケイ素Si:0.029%と亜鉛と同じ比率であり、超微量構成元素となっています。これは、ケイ素が炭素と科学的性質が似ているという面もある一方で、ケイ素化合物が化学反応に対して炭素原子程柔軟で無いという点とアミノ酸その他の物質の炭素の様な存在として機能しないという弱点があるからです。その意味で、炭素化合物は、蛋白質やゲノムとしても柔軟に対応可能であるという特徴を有しています。実際、有機化合物は、生物の多くで利用される蛋白質やゲノムの材料として広く知られています。

私達は、特定の薬やサプリを服用すれば、健康長寿を簡単に実現すると考えるのでは無く、1つの全体像をイメージして、ジグソーパズルを解く様に、何が必要で、何を摂取すべきでないのか?何を生活習慣の中の取り入れる事が大切なのか?を科学的に良く考える習慣を持つ事が安全で重要かと思います。

ジグソーパズルを解く場合は、特徴的な色や形のピースに注目したり、その位置にしか置けないピースを選択決定する等、確定させるべき確率の高いピースを選択するという方針やコツがWEBには紹介されたりしています。勿論、敢えて難しい絵柄や数の多いピースにチャレンジして、完成後には、絵や図柄を額に入れて部屋に飾って楽しむという人も多くいる様です。理想的な健康体もこれと似ています。

健康科学は、知っているだけでは「健康」への貢献は知識としての潜在的な限定的な意味しかありませんが、ある日、自分の健康増進へと進める原動力の点火装置(発火)として、チャンスに変わる期待もあります。特に、「健康習慣」以上に大切なのは、人によりますが意外で気づかない「健康阻害要因(習慣)」を特定する為に、健康科学や可視化技術が、大切な「鍵」になる点です。多くの人がそうですが、見えない健康リスクは対処の方法が限定されます。統計データや周囲の人、メデァを通して、健康被害が大きく周知されれば、数名の死者や数百人~の要治療者・健康被害相談者でも大きな注目を集めますが、数百人~数千人規模の死亡者数や数千人以上の健康被害があっても多くの権威者が因果関係は不明とすれば、あまり問題とはされない現実があります。最終的には、自分の持つ情報や常識、科学的な根拠をベースに健康リスクを判断する必要があり、今後の自分達の「健康」は、自己責任で進める事が原則論となります。

サプリメントや薬・ワクチンは、命や健康を守るという意味では、重要な手段の1つですが、全ての人に安全が保障されている訳ではありませんし、基本的に治療や手術を担当している医師に全ての責任がある訳でもありません。現在の医学では、体内で起こっている全ての生体反応や免疫や臓器の状態を完全に把握する事は出来無いからです。しかし、ある確率では患者を救う事が出来るという実績はあります。

例外が発生した場合は、その原因究明が複数の科学的視点で実行されます。米国では、「精密医療」という考え方が広まっていて、人間のゲノムがそれぞれ違っている様に体内の生理反応や防御反応は、多くの共通点がある一方で、それぞれ違っている部分も多くあり、全ての人に副反応ゼロで同じ効果が期待出来る理想的で100%安全な治療薬や外科手術も無いといのが常識になりつつあります。年齢にもよりますが、癌の場合、外科手術は選択肢の1つとなっても、その患者の体の状態により、手術後に安全に癌削除後の臓器が再生するという100%の保証はありません。80~90歳を超えての外科手術は、医師の多くが敬遠する傾向にあります。一定のリスクが存在しますので、専門医によってはプレハビリテーションや他の選択肢を提案する場合が多くあります。

最終的には、確率や統計、その本人の判断もありますので、微妙ですが、何故か?という科学の知識はあった方が良いと思いますし、少なくとも邪魔にはならない筈です。担当医師も何十年もその患者の状態を長期的に把握している訳では無いからです。健康維持や疾患リスクを低下させるには、広く健康科学や生命科学、細胞や免疫学、生物の酵素反応を知り、間違った理解を回避する事が重要です。管理栄養士の多くは、1食/日を推薦しません。1回で、必要な栄養バランスを実現して、蛋白質や食物繊維その他を摂取する事が容易では無い事を知っているからです。しかし、1食/日は特定の人に人気があります。選択するのは、それぞれ個人の問題です。短期的な効果か?長期的な安定した健康状態か?の問題です。